認知行動療法の第一人者、清水栄司先生から学ぶ!
「保健室で活用できる認知行動療法」
〔プロフィール〕1990年、千葉大医学部卒後、精神科医として勤務。1997年、同大学院修了、医学博士取得後、プリンストン大学へ留学し、学習能力を増強した「天才マウス」の研究に従事。2000年、帰国後、認知行動療法の研究と実践を開始。2006年より、同大学院、教授。千葉認知行動療法士トレーニングコース(chibacbt.net)を2010年より主宰。日本認知療法学会役員(2009年大会長)。日本不安症学会理事(2016年大会長)。著書に「認知行動療法のすべてがわかる本」(講談社)、「自分でできる認知行動療法」(星和書店)、「自分で治す社交不安症」(法研)など。
人は『感情(気持ち)』や『体の反応』、『認知(考え)』に影響されて『行動』しています。
そのため、悩みやストレスを抱えて悲観的になると、「私ではダメだ」「ミスしたら終わりだ」といった偏った考え方や極端なものの見方をしてしまうときがあります。
認知行動療法は、この悪循環を見直し、好循環に持っていくようにバランスをとる、人にやさしい精神療法です。
今回は、認知行動療法の第一人者として不安障害とうつ病の治療にあたる清水栄司先生に、認知行動療法の有効性や学校現場にどう応用していけばよいのかについて、お話をお聞きしました。
認知行動療法は、うつ病や不安障害には第一選択の治療法です。実際にどのくらい有効かというと、およそ二人に一人程度の方が回復するとお考えください。
この二人に一人という数字は、うつ病に関しては、ほぼ薬物療法と同じ効果で、そのほかのパニック症、外的後ストレス障害(PTSD)、社交不安症、強迫症などの疾患に関しては、薬物療法よりも効果があるという結果が出ています。
特に不安の病気は、就学前は分離不安症や場面緘黙、小学校に入ると恐怖症、高学年になると社交不安症、大人になると何もかもが怖くなる全般恐怖症につながるなど、連続すると言われています。このため、子供の不安の問題にその都度対処しなければ、不登校や引きこもり、うつ病などにつながってしまいます。
つまり、発達段階に合わせて、反復した心の健康づくりを認知行動療法を活用して行い、「不安」「悲しみ」「怒り」などのネガティブな感情との付き合い方、対処法を学び続けることが重要になってきます。
あなたは「砂漠でコップの水が半分」という絵を見て、どういう気持ちと考えを持ちますか?
人は同じような状況でも色々なものの見方や考え方(認知)をしています。
認知行動療法では、自分がどんな「感情(気持ち)」で、どんな「体の反応」や「認知(考え)に影響されて「行動」しているのかを客観的に捉えることが大事なポイントになってきます。
生徒の考え方を否定して、無理矢理変えさせるのではなく、ネガティブな考えを受け入れた上で(受容)、バランスの取れた別の考えを見つける(変化)点が、認知行動療法の素晴らしい部分だと思います。
今回、制作したDVDでは日頃、保健室に体の不調、例えば「頭が痛い」「お腹が痛い」と訴えてこられる生徒さんに対して、その背景に見られる不安や抑うつに対して活用できる認知行動療法について学んでいただければと思っています。
特に、うつや社交不安症傾向の生徒さんに対して、養護教諭の先生方が認知行動療法のカウンセリング技法(ケースフォーミュレーションと認知再構成)を用いることにより、新たな気付きの発見を促し、不安やうつの気持ちを軽減させることを目指しています。
DVDの中では、二つの事例のロールプレイを収録していますので、実際の保健室での使用に関して参考にしていただければ幸いです。
体育が体を育てる時間なら、心を育てる時間も必要です。
保健室という健康を保持・促進する学校現場の拠点で、体の健康作りと同様に、心の健康作りにも注力していただければと思っています。
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